アルベアルのワインメーカーズディナー

 


2015年最初のワインメーカーズディナーを 1月中旬に開催しました。
アンダルシア最古の家族経営ワイナリー(1729年創業)のアルベアル社オーナー夫人とエクスポートマネージャー・ ロシオさんをお迎えました。早い段階から満席となり、当店のダイニングは外の寒さも忘れる程アンダルシアのワインの熱い夜となりました。

最初のワインはフィノ ラ スルタナ。このワインはシェリーのようにソレラシステム(継ぎ足し)で熟成、フロールと言われる酸膜酵母をつけたタイプです。香りはドライシェリーのようにかなり風味豊かですが、後味は白ワインのようにドライ。サンパウのソムリエでありベネンシアドールでもある伊藤によるベネンシアでのサービスで、香り味わいともに開かせ乾杯、宴のスタートとなりました。
料理はシンプルに、カルメが惚れ込んでいるホセリート社の36ヶ月生ハムとそこにカタルーニャ生まれのタパス、パンコントマテを合わせ双方の余韻を楽しんでいただきました。

2つ目のワインは、フィノ セーベー。こちらは最初のものよりも熟成が進んだものになり、アーモンド系のナッツの香りが非常に豊か。複雑な味わいとコクが広がる余韻には、アロスカルドソというパエリアよりもスープが多いお米料理を合わせました。海の幸豊かなカタルーニャ料理らしく、車海老の濃厚なおだしを吸わせた、シンプルながら深みのある味わいはフィノ セーベーにもぴったりでした。

赤ワインの2種はラ サルシータ2010とロス アシラテス2010。
双方とも単一畑産という希少価値のある赤ワインです。ラ サルシータ2010はスパイシーさや果実香、ミネラル、酸味や渋みといった味わいがバランスよくまとまったタイプ。このワインにはクセがなく、柔らかみと味わいにふくよかさのあるイベリコ豚のプルーマに、西洋白人参のピューレと合わせ、肉の旨味を引き出す付け合せ。
ロス アシラテス2010はより複雑な香りと、深みのあるコク、果実味のふくよかさが特徴。こちらにはワイナリーが所在するコルドバの名物料理ラボ・デ・トロ(オックステールの煮込み)を「サンパウ」風にアレンジしてご提供しました。2種のビーツをアクセントに旨みを凝縮させたオックステールとの長い余韻の組み合わせです。

デザートワインは、ペドロヒメネス2011とペドロヒメネス1927。
2011は単一ヴィンテージになりまして、世界的に最高の評価をうけた特別ワイン。この会のために生産者がお持ちになったものです。甘く煮詰めたヘーデルナッツのような芳醇な香り、味わいは透明感のある最高級のメープルシロップのような珠玉のデザートワインです。
1927は、スペインの醍醐味でもある継ぎ足しスタイルで、その名の通り1927年より継ぎ足しを行ってきた逸品。単一ヴィンテージのものより複雑味があり、とても長い余韻がなんともいえません。
これらの素晴らしい甘口ワインに合わせて、デザートは白インゲン豆のモンブラン仕立てに、爽やかなカタルーニャ産のオリーブオイルのシャーベットと1927のペドロヒメネスのソースを添えました。

当店でアンダルシアの生産者を迎えるという初めての試みだった今回のワイン会。12月中旬に各ワインのサンプルを一本ずつ頂き、シェフ・岡崎とソムリエ―ル渡邊と共に慎重にティスティングをしながら、アンダルシアとカタルーニャの共通点を探って、模索しながら今回の料理の構成を練りました。コースを通じて、アンダルシアとカタルーニャのエッセンスをバランス良くお楽しみ頂けたかと思います。

最後になりましたが、とても気さくに明るくワイナリーやワインのことを教えてくださったアルベアル社オーナー夫人とエクスポートマネージャー・ ロシオ様、そして今回すべてのワインをご用意下さった正規輸入業者である株式会社飯田の公平様をはじめとする皆様、本当にありがとうございました。2015年の幕開けに相応しいワイン会になりました。


シェフソムリエ
菊池 貴行

 

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